胃・十二指腸潰瘍
胃・十二指腸潰瘍とは
潰瘍とは、胃液という強い酸の刺激によって皮膚や粘膜が傷つき、胃・十二指腸の組織が剥がれ落ち、それが表層に留まらず奥深くまで至った状態を言います。胃潰瘍とはこの病態が胃で、十二指腸潰瘍とは十二指腸で起こった疾患のことです。
症状を我慢して潰瘍が進むと、漿膜を突き破って穿孔を起こすなどで、外科手術になってしまう可能性もあります。また、潰瘍を起こす要因となるピロリ菌や生活習慣などを取り除かなければ再発を繰り返して、胃がんも発症しやすくなります。
主な症状
みぞおち(心窩部)の鋭い痛み
胸やけ、胃もたれ
吐き気、嘔吐
食欲不振
腹部膨満感
痛みは軽症の場合、胃潰瘍であれば食後に起こることが多く、十二指腸潰瘍であれば空腹時に起こることが多いというのが特徴ですが、進行すると常に痛むようになります。
また、潰瘍が進行して血管を破ると出血し、吐血や黒または暗紫色のタール便が出る下血になることもあります。さらに進行し、胃壁に穴が空いてしまう穿孔が起こると、腹膜炎を起こし重篤な症状になることもあります。
胃・十二指腸潰瘍の原因
◆ピロリ菌
胃・十二指腸潰瘍の多くはピロリ菌感染が原因となって起こっています。ピロリ菌が胃の内層の炎症を引き起こし、潰瘍の原因となります。
◆鎮痛剤
近年ではロキソプロフェンやアスピリンといった非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の乱用や誤用が原因の胃・十二指腸潰瘍も増えています。
◆その他
ステロイド、抗凝固薬、低用量アスピリン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など、特定の他の薬により胃潰瘍のリスクが高まり、またNSAIDと一緒に服用することで、潰瘍を発症する可能性が大幅に高まってしまいます。
ストレスや過労、生活習慣(喫煙、アルコール、辛い物)が胃・十二指腸潰瘍を悪化させる要因として働いていることもあります。
治療
◆薬物療法
胃・十二指腸潰瘍は胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と粘膜を保護する薬などの内服で比較的早く治すことができます。
◆食事療法・生活改善
急性期(発症の初期)は症状が激しく、出血するリスクもあるので、食事には注意が必要です。胃の安静と酸分泌を刺激しないために、消化の良い柔らかい食事を少量ずつ摂取することが望ましいと言われています。症状が落ち着いた時にも、規則正しい食事習慣が大切です。アルコール飲料、タバコ、カフェイン飲料は好ましいものではなく、特にタバコは潰瘍治療を遅延させて再発しやすくするので禁煙をお勧めします。
再発予防
胃・十二指腸潰瘍は、非常に再発しやすい病気です。症状がないからと言って放置しておくと、ほとんどの方が再発すると言っても過言ではありません。再発を防止する目的で、H2ブロッカーなどを継続して飲んでいただくこともあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人がピロリ菌に感染している場合、ピロリ菌の除菌療法を行うことは、潰瘍の再発予防に有効です。
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